金融庁は、登録を申請している仮想通貨交換業者の審査について、従来より厳格化する方針を明らかにしました。仮想通貨の取引が急拡大しているにもかかわらず、リスクを適切に管理できない業者が多いためです。従来の業者育成という路線を転換して、厳しく監督することにしました。
みなし業者であるコインチェックで、今年1月に約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出する事故が発生したことを受け、金融庁は登録申請の審査を事実上凍結していました。そして、登録業者16社およびみなし業者16社(現在3社)に検査とモニタリングを継続していました。
仮想通貨交換業者が提出した経営情報によると、直近1年間の17社分だけで総資産は計6928億円に上り、その前の1年分の1061億円と比べて6・5倍に膨らんでいます。全体の4分の3の事業者は役職員が20人未満であって、1人あたり平均で33億円の預かり資産を取り扱っていました。
多くの業者において内部管理体制の整備が追いついておらず、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の供与の防止に対する措置が充分とはいえませんでした。利用者が反社会的勢力に関係していると知りながら取引を認めていたり、本人確認なしにメールアドレスを届け出るだけで仮想通貨の購入を許可していたりする例がありました。
金融庁はこれまでも、書面だけでなく、システムの運用体制・管理状態などを見て登録の可否を審査してきましたが、より厳しく対応する必要があると判断しました。業者から事業計画を詳細に聴取し、実効性のある内部管理体制の構築や利用者保護について、システムの運用や技術面でも証明できることを求めます。また、役員からの運営に関する聴取も強化されます。
また、登録を認めた業者に対しても、登録後の早期に検査を行うようにします。