改正の概要
旧民法では、契約解除と損害賠償の要件は同じでしたが、改正民法では、契約解除と損害賠償の要件が異なることになりました。
契約実務への影響
①債務不履行を理由とする解除
旧民法では、債務者が債務不履行をした場合において、債務者の「責(せめ)」に帰すべき事由が認められることが解除の要件でした。改正民法では、債務者の責に帰すべき事由の有無にかかわらず、契約の解除ができるようになりました。よって、相手方が全くの無過失でも解除することができます。これは、旧民法では、契約の解除は債務不履行をした債務者に対する懲罰的な意味合いでしたが、改正民法では、履行されない契約の拘束から債権者(債務者でなく)を解放するための制度にその位置付けを変更したためです。よって、改正民法施行後の契約においては、要件が変わったことを念頭に置いて、必要な規定を置くなどの対処が必要になります。
②債務不履行を理由とする損害賠償
旧民法では、債務者が債務不履行をした場合において、債務者の「責」に帰すべき事由が認められることが解除の要件でした。改正民法でも、旧民法と同様に、債務者の責に帰すべき事由が必要です。つまり、現状が維持されました。これは、責に帰すべき事由なしに損害賠償まで請求されるのは酷であるという産業界の意見が反映されたものです。