〈民法改正メモ-03〉買い戻しの特約

改正の概要

①買戻しの金額が、当事者の合意によって決定できることとなりました。

②買戻し特約登記に対抗できる賃借権が、「登記をした」から「対抗力を備えた」になりました。

契約実務への影響

①現行民法は、買戻しの際に売主が返還する金額を「買主が支払った代金及び契約の費用」と規定していて、これが強行規定と解釈されていました。よって、実務上は、この規定が適用されることを避けるために、売主から買主への返還金額を自由に定めることができる「再売買の予約」を利用しています。改正民法579条には、「別段の合意をした場合にあっては、その合意によって定めた金額」の規定が追加されました。これにより、売主から買主へ返還すべき金額の範囲について当事者の合意によって決定できることとなり、買い戻し制度が使いやすくなりました。

②売主と賃借人のどちらが優先されるかについて、買戻し特約の登記がされた後に、「対抗要件を備えた賃借人」は「残存期間中1年を超えない期間に限り」売主に対抗できることとなりました。よって、建物の場合、賃借して引渡しを受ければよく(借地借家法31条1項)、賃借人の登記は不要です。ただし、この賃貸借が売主を害する目的(賃料が不当に廉価、賃料全部が前払いなど)のときは、賃借人が売主に対抗できないのは現行民法と同じです。

 

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