今回の民法改正について一般的な事項をまとめてみました。
1.債権の時効期間が統一される
今まで債権の種類(個人間、商取引、工事、弁護士、飲食代金など)によって異なっていた時効期間が、原則「権利認識後5年、権利発生後10年の短い方」に統一されます。ただし、不法行為3年、貸金債権2年などの若干の例外・特別法があります。
2.法定利率が変動制になる
今まで5%(商取引6%)の固定だったが、改正時3%で3年毎に見直しされます。
3.約款についての規定が新設される
①約款を契約に使用することの合意又は予め表示がなければ無効です。
②信義則に反して相手方の利益を一方的に侵害する約款は無効です。
③「相手方の利益になる」又は「(変更に関する条項があって)変更内容が合理的」のときは、相手方との合意なしに約款の内容の変更ができます。
4.個人保証の要件が厳格になる
①事業資金の借り入れなどの個人保証は公正証書の作成が必要になります。ただし、「法人の借り入れを取締役が保証」や「個人の借り入れを共同経営者又は配偶者が保証」等の場合は、公正証書は不要です。
②個人根保証契約には「極度額を書面で合意」がないと、無効になります。
③債務者は契約締結時に、保証人に対して財産状況等の情報を提供する義務あります。
5.不動産賃貸借の敷金・修繕関係の権利義務が明確になる
①敷金の定義や返還の要件などが法律上に明記されます。
②通常の使用による損耗や経年劣化は、原状回復義務の範囲外であることが明確になります。
③賃借人は、自身の故意・過失による破損については修繕義務あります。
6.その他の事項
・譲渡禁止特約がある債権が悪意・重過失の第三者に譲渡されたとき、債務者は履行拒絶できる。
・書面により協議を行うことを合意すれば、時効完成を猶予することができる。
・契約成立時に履行不能の債務について、債権者は履行請求できない。
・錯誤を主張できるのは、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときのみ。
上記以外にも多くの改正があり、影響の有無と対応を丁寧に検討して行くべきと思われます。