〈民法改正メモ-11〉厚労省の賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会

平成32年4月施行の改正民法では、消滅時効は、主観的起算点(知ったとき)から5年、客観的起算点(行使できるとき)から10年に整理されましたが、労働基準法115条の消滅時効は改正されず2年のままです。そこで、労働基準法の消滅時効も改正すべきかという有識者による検討会が昨年12月から厚労省で行われています。今年の夏を目途に方向性が出るようです。

論点は以下の通り。(厚労省の資料から引用)

○ 現代の社会経済情勢を踏まえ、労働基準法第115条の対象となる賃金等請求権の消滅時
効の期間について、労働者の保護や取引の安全等の観点を踏まえつつ、どのように考えるか。

○ 労働基準法第115条の消滅時効の起算点について、同規定はこれまで「権利を行使できると
きから」と解釈・運用されてきたと考えられるが、今般の民法の改正を踏まえ、どのように考えるか。

○ 年次有給休暇請求権の消滅時効(繰越期間)について、年次有給休暇の取得促進の観
点を踏まえつつ、どのように考えるか。

○ その他の関連規定(書類の保存期間や付加金等)について、賃金等請求権の消滅時効
期間の在り方を踏まえて、どのように考えるか。

労働者側は「伸ばしたい。」使用者側は「短くしたい。」が本音のようです。

海外(ドイツ、フランス、イギリス)の状況も報告されています。海外では3か月とかでとても短い代わりに、労組などが全額支援するので労働者が負担ゼロで賃金不払いをバンバン訴えているとか、有給は100%取らせないと会社が罰せられるので、繰越できる有給は残らないとか。。。日本の仕組みとは大分違うようです。

PAGE TOP