ケース
非公開会社(つまり、全株式に譲渡制限がある)である子会社の代表取締役になって貰っていた親会社の役員が親会社を退職したので子会社の取締役も辞めて貰いたいが、いろいろ揉めていて辞任届に印鑑が貰えない。ただし、臨時株主総会を開いて解任決議をするのは、会社の履歴事項に「解任」と載ってしまい、銀行などと取引に影響がでるので避けたい。
対応策(案)
臨時株主総会を開いて定款変更し、取締役の資格を一定の者に限定するようにします。定款変更の決議によって、この子会社代表取締役は取締役としての資格がないことになりますので「任期満了」し、同臨時株主総会で新しい取締役を選任することができます。ただし、元の取締役に対する金銭的な補償等は十分にする必要があります。
理由
全株式譲渡制限会社においては、「定款自治」の原則から、このような定めも可能であると解されています(会331②但書参照)。ただし、この定めは、具体的な強行法規もしくは株式会社の本質に反し、または公序良俗に反するものであってはならず、かつ、株主の基本的な権利を奪うものであってはなりません。